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始末書提出を強要された! パワハラにあたる可能性があるケースとは

2023年06月13日
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始末書提出を強要された! パワハラにあたる可能性があるケースとは

神奈川労働局が公表している個別労働紛争解決制度等の施行状況によると、令和3年度における民事上の個別労働紛争に関する相談件数は2万1319件でした。そのうち「いじめ・嫌がらせ」に関する相談がもっとも多く、5383件を占めています。

仕事で何らかのミスをしてしまった場合には、会社から始末書の提出を求められることがあります。自分がしてしまったことに納得していればよいですが、そうでない場合には、「始末書の提出を拒否したい」と考える方もいるでしょう。

始末書の提出を拒否すると、それが原因で会社からさらに処分を受けるおそれもあります。しかし、会社が始末書の提出を強要したり、提出を拒否したことを理由に処分を下したりすることは、パワハラや違法な措置である可能性があるのです。

本コラムでは、始末書の提出を強要することがパワハラや違法な措置となる場合について、ベリーベスト法律事務所 小田原オフィスの弁護士が解説します。

1、始末書の提出は義務にあたる?

まず、職場における「始末書」について、基本的な事項を解説します。

  1. (1)始末書とは

    始末書とは、仕事上でミスや違反行為などをした場合に、その事実関係を報告して、謝罪や反省を促すことによって再発防止を目的として会社に提出する文書のことをいいます。
    懲戒処分のひとつに「けん責(譴責)」というものがあります。「けん責」とは、一般的に、始末書を提出させてその将来を戒めることをいいます。ですので、始末書は、懲戒処分の一環として提出を求められるものと考えられます。

    始末書と似たものに「顛末書」というものもあります。
    顛末書は、仕事上でミスや違反行為などをした場合に、その事実関係の報告をする目的で会社に提出する文書のことをいいます。
    始末書とは異なり、顛末書には反省や謝罪の意味は含まれていません。

    もっとも、ビジネスの現場では始末書と顛末書、あるいは反省文といった言葉を区別せずに使っていることが多いです。また、企業によっては、「けん責」という言葉は使わず、「訓戒」や「厳重注意」といった言葉を使うこともあります。

  2. (2)始末書の提出は義務なのか

    始末書は、上記のとおり、労働者に対して謝罪や反省を促す文書になります。
    本来、謝罪や反省とは個人の内心に関わるものであり、誰かに強制されるような性質のものではありません

    裁判例の中には、会社は懲戒処分として始末書の提出を求めることができ、それを拒否した場合には再度懲戒処分をしても違法ではないと判断したものもあります(東京地判昭42年11月15日労判54-27等)。
    しかし、労働契約は労働者の思想や良心まで強制できるものではないので、始末書の提出を強制することには慎重になるべきでしょう

2、拒否したとき起こり得ることと違法性

以下では、始末書の提出を拒否した場合になされる可能性のある処分や、そのような処分の違法性について解説します。

  1. (1)始末書の提出を拒否したときに起こり得ること

    始末書の提出は、懲戒処分の一環として行われることが多いでしょう。
    そのため、始末書の提出を求められた労働者には、何らかの非違行為があったものと考えられます。

    何らかの非違行為があったにもかかわらず、始末書の提出をさせずそのまま放置していると、他の社員にも示しがつかず会社の秩序が乱れるおそれがあります。
    そのため、会社は、始末書の提出を拒否した従業員に対して、始末書不提出を理由に再度の懲戒処分をしたり、さらに重い懲戒処分を行ったりすることがあるのです

  2. (2)始末書の提出拒否を理由とする処分の違法性

    すでに説明したとおり、始末書には謝罪や反省の意味合いが含まれています。
    労働者には思想・良心の自由があるため、会社が再度の懲戒処分によって始末書を書くことを強制し、あるいは会社の用意した始末書に署名・押印を強要することは問題があるでしょう。
    会社としては、始末書提出を求める通知書を出す、「けん責」の対象となった非行行為と同種の行為がなされた場合に、その処分決定の際に不利な事情となることを警告するといった対応をすれば足りると考えられます。

    また、前述のとおり、ビジネスの現場では始末書と顛末書が明確に区別されているとは限りません。懲戒権限がない現場監督者が始末書の提出を強要する場合には、パワハラにあたることがあり得ます

3、解雇やパワハラなど違法な対応をされたときどうする?

会社が始末書不提出を理由としてさらに懲戒処分を科した場合や、会社があらかじめ用意した始末書に署名押印を強制された場合など、会社から違法な措置をされた場合には、以下のようにして対応しましょう。

  1. (1)証拠の収集

    始末書の強要によって違法な処分をされたりパワハラを受けたりした場合には、会社に対して、処分の撤回を要求したり損害賠償の請求をしたりすることを検討しましょう。

    これらの要求や請求を行うためには、証拠を収集することが大切です
    証拠がない状態で会社に訴えたとしても、「正当な処分だ」、「パワハラにはあたらない」などと否定されてしまい、希望する結果が得られない可能性が高いためです。
    まずは、以下のような証拠を集めるようにしましょう。

    • 始末書の提出を強要されている場面を録音した音声
    • 会社が署名押印を求めてきた始末書
    • 解雇通知書
    • 解雇理由証明書
    • 日記や業務日報
  2. (2)社内の相談窓口に相談

    令和2年6月1日に施行された改正労働施策総合推進法(通称パワハラ防止法)によって、企業にはパワハラ対策のための相談窓口の設置が義務付けられています。
    中小企業については当初は努力義務とされていましたが、令和4年4月1日からは大企業と同様に義務化されています。

    会社内でパワハラ相談窓口が設置されている場合には、社内の相談窓口を利用してみるとよいでしょう
    始末書の強要はパワハラにあたる可能性がありますので、誠実に対応してくれる会社であれば、上司への注意や指導などによって早期の解決が期待できます。

  3. (3)解雇の撤回や損害賠償請求

    会社から始末書の提出拒否を理由に解雇されてしまった場合には、不当解雇を理由として、会社に対して解雇の撤回を求めていきましょう。

    解雇の撤回は口頭で求めていくこともできますが、後日の証拠にするためにも、配達証明付きの内容証明郵便を利用して書面で行うことをおすすめします
    その際には、解雇の撤回に加えて、就労の意思があることを、しっかりと示してください。就労の意思を示すことによって、不当解雇日以降の賃金を請求することが可能になるためです。

  4. (4)会社との交渉

    不当解雇である場合には、職場への復帰と解雇との賃金の支払いを求めるため、会社と交渉しましょう。
    また、パワハラである場合にも、慰謝料などの損害賠償の支払いを求めるために、会社との交渉が必要になります。

    会社との交渉によって納得いく解決方法が提示された場合には、会社との間で合意書を作成することで、トラブルは解決となります。
    また、不当解雇の事案であっても、職場に復帰するのではなく、一定の解決金を支払うことによる金銭解決を選択することもできます。
    どのような方法での解決を目指すかは、ご自身の状況をふまえて、慎重に判断してください

  5. (5)労働審判

    労働審判とは、紛争の実情に即して、迅速な解決を目指す裁判所の手続きです。
    原則として3回の期日で終了する、訴訟とは異なる柔軟な解決が可能な制度であるため、有効な手段といえます。

    ただし、異議申立てがなされると労働審判は効力を失い、訴訟手続きに移行することになります。

  6. (6)裁判

    会社との話し合いや労働審判でも解決することができない場合には、裁判所に訴訟を提起しましょう。

    訴訟の提起や、訴訟の際に労働者の主張を適切に立証・主張するためには、専門家である弁護士のサポートを受けることをおすすめします

4、弁護士に相談すべきケース

以下のようなケースでは、弁護士に相談することをおすすめします。

  1. (1)会社から始末書の提出を強要されているケース

    始末書の強要は、思想・良心の自由に対する侵害であるため、労働者は始末書の提出を拒否することができます。
    しかし、労働者個人が会社に対して始末書の提出を強要することをやめるように要求しても、会社が取り合わずに対応しない場合があります。

    弁護士が代理人となり、会社に求めていくことによって、正当な対応がなされる可能性を高めることができます
    また、始末書の拒否をするとその後に懲戒処分や不利益処分などがなされるおそれがありますが、弁護士が介入することによって、そのような処分も回避しやすくなるでしょう。

  2. (2)始末書の提出拒否により不当解雇をされたケース

    「始末書の提出を拒否した」という理由で解雇をするのは、不当解雇にあたる可能性があります。
    不当解雇にあたる場合には、解雇の撤回や解雇日以降の賃金を求めて会社と交渉をしていくことになりますが、弁護士に依頼をすれば、会社との対応をすべて弁護士に任せることができます

    また、交渉が決裂して労働審判や訴訟に発展した場合でも引き続き弁護士が対応してくれるため、最後まで安心して任せることができるのです。
    ひとりで対応が難しいと感じる場合には、弁護士に依頼することをおすすめします。

5、まとめ

始末書には謝罪や反省の意味合いがあるために、始末書の提出を強要することは労働者の思想・良心の自由を侵害することになります。
したがって、会社から始末書の提出を求められたとしても、納得がいかない場合にはそれを拒否することができるのです。

ただし、拒否したことによって、会社から違法・不当な処分がなされる可能性もあります、
その際には、弁護士に依頼することによって、不当な措置に屈せずに適切な対応をとることができます。
始末書の強要やその他のパワハラ問題、不当解雇などでお困りの労働者の方は、まずはベリーベスト法律事務所にご連絡ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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