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部活中に事故にあった! 責任追及したいときはどうすればいい?

2023年06月13日
  • 学校事故
  • 部活
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部活中に事故にあった! 責任追及したいときはどうすればいい?

学校での部活動中に事故が発生した場合には、災害共済給付金を受給できるほか、学校や加害者に対して損害賠償を請求できる場合があります。すぐに医療機関で治療を受けたのちに、災害共済給付金や障害等級認定の申請をしましょう。

損害賠償請求を検討されている場合には、請求ができるかどうかや請求先について弁護士に相談してください。また、損害賠償を請求するための示談交渉や訴訟も、弁護士に依頼することができます。

本コラムでは、部活動中に事故にあった場合の対処法や注意点などについて、ベリーベスト法律事務所 小田原オフィスの弁護士が解説します。

1、部活動中に事故が起こったらやるべきこと

まず、自身や家族が部活動中に事故にあってしまった場合には、とるべき対応について解説します。

  1. (1)すぐに医療機関で治療を受ける

    まずは、すぐに医療機関でケガの治療を受けることが大切です。

    治療開始までに時間がかかってしまうと、ケガの症状が悪化してしまい、治りにくくなる可能性があります。
    また、治療開始が遅れた場合には、事故とケガの因果関係が不明確になり、災害共済給付金の申請や損害賠償請求に支障が生じることもあります。
    このような事態を防ぐためにも、部活動中に事故にあったら、直ちに医療機関を受診すべきです。

    また、一見ケガがないようでも、見えない部のケガが発生している可能性があります
    そのため、痛みなどの自覚症状がない場合でも、事故に遭ったら必ず医療機関を受診するようにしましょう。

  2. (2)災害共済給付金を申請する

    学校や園の管理下での事故では、独立行政法人日本スポーツ振興センターの「災害共済給付制度」が利用できることがあります。

    部活動など学校の管理下において発生した事故でケガをしてしまった場合などが支給対象となります。
    医療費が5000円(3割負担で1500円)を超えた場合には、その4割相当額が支給されます。自己負担分の3割に加え、医療費全体の1割が返ってくる計算になります。また、後遺症が残った場合や死亡した場合には見舞金が支給されます。

    災害共済給付金は、医療機関から「医療等の状況」という証明書の交付を受けた後、学校を通じて請求することができます。院外の薬局で薬の処方をされた場合には、「調剤報酬明細書」に基づいて請求ができます。
    進学や進級時には子どもが沢山の書類を持って帰るので、うっかり災害共済給付金の案内を捨ててしまったり、同意書を書いて加入したこと自体を忘れがちです
    受給要件を確認したうえで、漏れなく申請を行いましょう。

  3. (3)障害等級認定を申請する

    部活動中の事故によって後遺症が残った場合には、日本スポーツ振興センターの障害等級認定を受けることができます。

    障害等級は、後遺症の部位や症状などに応じて、第1級から第14級までの14段階が存在します。
    災害共済給付金の障害見舞金の金額は、認定される等級に応じて変わります。

    障害等級認定を受けるべきタイミングは、医師から症状固定の診断を受けた段階です。
    症状固定とは、治療を継続しても症状が改善される見込みがないと医学的に認められる状態をいいます。
    症状固定の診断を受けたら、速やかに準備を整えて障害等級認定の申請を行い、その結果をもって災害共済給付金の障害見舞金を請求しましょう

  4. (4)学校・加害者に対して損害賠償を請求する

    災害共済給付金では、慰謝料など補填されない損害があります。

    災害共済給付金によって補填されない損害については、学校や加害者に対して賠償を請求できる可能性があります。
    損害賠償を請求する場合には、請求先や請求する金額について適切に検討・準備するため、事前に弁護士に相談してください

2、部活動中の事故について学校側が負う法的責任

部活動中に発生した事故については、学校が被害者に対して損害賠償責任を負う可能性があります。

損害賠償責任の法的根拠は、学校の種類によって以下のように異なります。

  • 国立・公立学校の場合:国家賠償責任
  • 私立学校の場合:不法行為責任・使用者責任


  1. (1)国立・公立学校の場合|国家賠償責任

    国立学校または公立学校における事故のうち、公務員の故意または過失に起因するものについては、学校の設置者である国または公共団体(自治体)が、被害者に対して国家賠償責任を負います(国家賠償法第1条第1項)

    <例>
    • 教職員などが意図的に事故を発生させた場合(体罰など)
    • 教職員などの不注意が原因で事故が発生した場合(監督義務違反など)


    なお、事故の発生について故意または過失のある公務員本人は、被害者に対して直接の損害賠償責任を負いません(最高裁昭和30年4月19日判決)。

    また、事故の原因が設備の設置・管理に瑕疵(かし)の場合にも、学校の設置者である国または公共団体(自治体)が被害者に対して国家賠償責任を負います(国家賠償法第2条第1項)。
    設備の設置・管理に関する国家賠償責任は、特定の公務員による故意や過失がない場合でも発生します。

  2. (2)私立学校の場合|不法行為責任・使用者責任・工作物責任

    私立学校における事故については、民法の規定に基づいて学校側の損害賠償責任が発生します

    まず、事故について故意または過失のある本人(教職員など)は、被害者に対して直接不法行為に基づく損害賠償責任を負います(民法第709条)。
    国立学校・公立学校とは異なり、個人責任の免責は認められていません。

    また、教職員などの故意または過失によって学校事故が発生した場合、使用者である学校の設置者(学校法人など)が被害者に対して使用者責任を負います(民法第715条第1項)。
    教職員などの選任・監督について相当の注意をしたとき、または相当の注意をしても損害が生ずべきであったときには使用者責任が免責されますが(同条第2項)、免責が認められるケースは稀です。

    さらに、学校設備の設置・管理の瑕疵が原因で事故が発生した場合、設備の占有者または所有者である学校法人などが、被害者に対して工作物責任を負います(民法第717条第1項)。

3、学校側の責任を追及する手続き

部活動中に発生した事故について学校側に対する損害賠償責任を追及する場合は、以下のいずれかの手続きを用いることになります。

  1. ① 示談交渉
  2. ② 訴訟


  1. (1)内容証明郵便の送付・示談交渉

    損害賠償責任を追及する場合、まずは学校側に連絡をとって、示談交渉を行うことになります。
    示談交渉を行うにあたっては、学校側に対して内容証明郵便を送付するのが一般的です。

    弁護士に依頼すれば、示談交渉を代行させることができます
    個人である保護者が、組織である学校を相手にして示談交渉を行っても、交渉が不利になってしまい適切な損害賠償の金額を得られない可能性があります。
    そのため、法律の専門知識を持ち、示談交渉の経験も豊富な弁護士に代行させることをおすすめします。

  2. (2)訴訟

    示談交渉がまとまらない場合には、裁判所に訴訟を提起することになります

    訴訟においては、被害者側が、損害賠償責任が生じる理由を、証拠に基づき立証しなければなりません。
    訴訟手続きは、複雑かつ専門性が高いため、弁護士を代理人として対応することが一般的です

4、部活動中の事故に関する裁判例

以下では、部活動中に発生した事故について、学校側の責任が認められた裁判例と認められなかった裁判例を紹介します。

  1. (1)大阪高裁平成27年1月22日判決|学校側(県)の責任を肯定

    大阪高裁平成27年1月22日判決の事案では、公立高校のテニス部員が、練習中の熱中症が原因で心肺停止となり、低酸素脳症によって重度の後遺障害が残りました。

    大阪高裁は、指導者である顧問教諭には練習内容の軽減や水分補給の指導など、生徒の健康状態に配慮した指示や指導を行う義務(安全配慮義務)があるところ、これを怠ったとして、県に2億3000万円余りの損害賠償を命じました。
    その理由としては、日差しの強い時間帯の練習であったこと、定期試験最終日で睡眠不足の可能性があること、生徒本人のまじめな性格などが挙げられています。

  2. (2)大阪高裁平成6年6月29日判決|学校側の責任を否定

    大阪高裁平成6年6月29日判決の事案では、私立高校のサッカー部員が合宿中に熱中症を発症し、その後腎不全で死亡しました。

    大阪高裁は、結論として学校側の注意義務違反を認定せず、生徒側の損害賠償請求を退けました。
    その理由としては、練習中の休憩や給水が自由であり、厳しい練習があったとは認められないこと、本人から体調不良の申し出がなかったこと、高校1年生は自分の体調につき、医師の診察を要するか否かを適切に判断できる年齢であることなどが挙げられています。

    ただし、上記の事故が発生した当時に比べると、現代では部活動における安全性確保の重要性がいっそう重視されるようになっています。

5、まとめ

野球部・柔道部・サッカー部・テニス部など、激しい運動をする部活動においては、思わぬ形で事故が発生することがあります。

部活中の事故に遭ってしまった場合は、まずは災害共済給付金による補償を受け、場合によっては学校に対して損害賠償を請求することも検討してください。
損害賠償を請求するための示談交渉や訴訟については、弁護士に依頼して代理人とすることをおすすめします。

ベリーベスト法律事務所は、民事事件における損害賠償請求に関するご相談を随時受け付けております。
学校事故による被害にお悩みの方は、まずはベリーベスト法律事務所にご連絡ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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