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ポイントを不正取得したら詐欺罪? 罪に問われる可能性と対応方法

2022年11月28日
  • 財産事件
  • ポイント
  • 不正取得
ポイントを不正取得したら詐欺罪? 罪に問われる可能性と対応方法

神奈川県小田原市では、SDGs体感事業の一環として地域通貨である「おだちん」を導入しています。スマホアプリをインストールして、お店手伝いやSDGsにつながる活動に参加するとポイントが付与され、地域の特別な体験に使用できるという仕組みです。

「おだちん」の利用に際しては、規約を遵守しなければならず、「不正取得」につながる行為が禁止されています。平成30年には、スーパーマーケットに来店するたびに付与されるポイントを位置情報の偽装によって不正取得した男が詐欺罪などの容疑で逮捕されました。

昨今ではポイントをためて上手に使う「ポイ活」も注目されていますが、ポイントを不正に取得する行為は犯罪に問われる可能性もある点に、注意が必要です。本コラムでは、ベリーベスト法律事務所 小田原オフィスの弁護士が、スマホアプリなどにおけるポイントの不正取得で問われる可能性のある罪について解説します。

1、ポイントの不正取得にあたる行動の例

スーパーマーケットや飲食店の予約サイトなどには、ポイントをためて割引などに適用できるサービスが実装されていることがあります。
以下では、ポイントの「不正取得」にあたる行動の例を解説します。

  1. (1)予約キャンセルによる不正取得

    ホテル予約サイトのポイント不正取得の事例を紹介します。
    あるホテル予約サイトにて、宿泊予約をキャンセルしても宿泊施設側からの報告がないとポイントが付与されたままになることを悪用して、無断キャンセルを繰り返してポイントを不正取得する、という事例です。

    この事例では、全国のホテル・旅館に2200件を超える宿泊予約をしたうえで無断キャンセルし、宿泊施設側からサイトへの報告がなかった400件弱について、約192万円相当のポイントが不正取得されました。

  2. (2)架空の会員登録による不正取得

    サイトに初めて会員登録した際に特典として付与されるポイントを、大量の架空名義によって会員登録を繰り返すことで取得する手口もあります。

    実際の事例では、7万件以上の架空名義でWebサービスの会員登録をおこない、約9300万円分のポイントを不正取得した母子が逮捕されました。

  3. (3)ポイント還元を悪用した不正取得

    キャッシュレス決済には、さまざまなポイント還元が実施されています。

    しかし、もし複数の小売店が結託して小売店同士で転売を繰り返せば、実質的には商品を動かさなくても各小売店がポイントを不正に取得できる可能性があります。
    このような取引は、紙の上で、同じ商品が同じところをぐるぐる回っていくので、「循環取引」と呼ばれています
    「循環取引」は、ポイントの不正受給のみならず、不正会計にもなるのでやってはいけません。

  4. (4)不正アクセスによる不正利用

    ポイントの不正取得とは異なりますが、関連する問題として、他人のID・パスワードを取得して不正にログインして、他人のアカウントにたまっているポイントを無断で使うという不正利用の事案も存在します。

2、ポイントの不正取得で問われる罪

以下では、ポイントの不正取得に対して問われる可能性のある罪について解説します。

  1. (1)詐欺利得罪

    ポイントの不正取得は、刑法第246条2項の「詐欺利得罪」にあたる可能性があります。
    詐欺利得罪とは、人を欺いて財産上不法の利益を得た者を罰するものです。
    ポイント券が個別にもらえる場合には、同条1項の「詐欺罪」にあたります。
    いずれも、10年以下の懲役が科せられます。

  2. (2)電子計算機使用詐欺罪

    ポイントの不正取得には、コンピューターやインターネットといったツールが必須です。
    これらを使えば、短時間で大量の虚偽入力を済ませたり、商品やサービス利用の申し込み・キャンセルを繰り返したりすることも容易になります。
    ただし、コンピューターやインターネットを利用した場合は、実在する「人」に対する行為ではないため、詐欺罪の成立に欠かせない「だます」という行為がありません。
    このような行為には、詐欺罪に関連する法律である、刑法第246条の2に規定されている「電子計算機使用詐欺罪」が適用される可能性があります。

    電子計算機使用詐欺罪とは、「人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報や不正な指令を与えるなどの行為によって財産上不法の利益を得る行為」をした者を罰するものです。
    ポイント不正取得の多くは、詐欺利得罪よりも電子計算機使用詐欺罪にあたるケースが多いと考えられます。

    電子計算機使用詐欺罪の刑罰は、詐欺罪と同じく、10年以下の懲役となります。

  3. (3)偽計業務妨害罪

    加害者側に「うそをついてポイントを不正取得しよう」という意図がなければ、詐欺罪や電子計算機使用詐欺罪は成立しません。
    ただし、先に挙げた例のように「商品やサービスの予約・取消しを繰り返す」といった行為が含まれている場合には、刑法第233条の「偽計業務妨害罪」に問われる可能性があります。

    「偽計」には「人の錯誤や不知を利用する」といった意味があります。
    「業務妨害」とは、人の業務の円滑な遂行を妨げうる行為です。
    虚偽の予約がなければ円滑に業務を遂行できたのに、虚偽の予約への対応を強いる行為は、偽計業務妨害罪の処罰対象となります。

    偽計業務妨害罪の刑罰は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。

3、有罪になった場合に科せられる刑罰

ポイントを不正取得する行為は、詐欺罪・電子計算機使用詐欺罪・偽計業務妨害罪といった犯罪によって処罰される可能性があります。
以下では、刑事裁判で有罪判決を受けたときに科せられる可能性のある刑罰について、詳細を解説します。

  1. (1)懲役

    懲役とは、刑務所に収監されて強制労働に服する刑罰です。
    期間の定めがある「有期」と期間の定めがない「無期」がありますが、詐欺罪・電子計算機使用詐欺罪・偽計業務妨害罪には有期懲役が科せられます

    懲役と同じように刑務所へと収容される刑罰に「禁錮」や「拘留」がありますが、これらは労働に服する義務がありません。
    刑法の定めによれば、禁錮・拘留は懲役よりも軽い刑罰という位置づけになります。
    しかし、実際には不自由な房内で一定の姿勢を保って座り続けなければならないなど強い苦痛を伴うため、自ら労働を希望する受刑者も多いようです。

    なお、懲役・禁錮には、判決の時点でその執行を一時的に猶予して、猶予期間中に新たな罪を犯さなければ刑罰が免除される「執行猶予」という制度があります。

  2. (2)罰金

    罰金とは、判決で言い渡された額の金銭徴収を受ける刑罰です。
    金銭を納めれば刑が終了するため、懲役や禁錮といった刑務所に収監される刑罰と比べれば軽いものだといえます。

    しかし、罰金を納められない場合は日当換算で労役場に収容されることになります。
    また、罰金を納めても前科がついてしまい、後の社会生活に不利益を及ぼすおそれがあることに注意してください。

  3. (3)拘禁刑

    日本の司法が抱える問題として、懲役や禁錮を受刑したのちの再犯率が高いという点が指摘されています。
    そこで、令和7年から施行される改正刑法では、懲役・禁錮を一元化した「拘禁刑」が導入される予定になっています。

    拘禁刑の導入によって、労働と再犯防止につながる改善教育を柔軟に施せるようになることが期待されています。
    ただし、拘禁刑が科せられるのは改正刑法の施行後に起きた犯罪に限られるうえに、前科がついてしまうという点も変わりません。
    「刑罰が軽くなるのだ」といった誤解を抱かないようにしましょう。

4、警察に逮捕されたあとの流れ

以下では、ポイントの不正取得が発覚して警察に逮捕された場合の、その後の流れについて解説します。

  1. (1)逮捕による身柄拘束

    警察に逮捕されると、72時間を上限とした身柄拘束を受けます。
    48時間のうちに、警察署の留置場への収容、警察官による取り調べなどがおこなわれたうえで、検察官へと引き継がれます。
    警察から検察官へと引き継がれる手続きを「送致」といいますが、ニュースなどでは「送検」と呼ぶのが一般的です。

    逮捕直後は、「今後はどうなっていくのか」「取り調べにはどのように対応すべきなのか」といった、さまざまな不安が生じるでしょう。

  2. (2)勾留による身柄拘束

    送致を受理した検察官は、自らも取り調べをおこなったうえで、さらに身柄拘束を続けるべきかを判断します。
    身柄拘束の必要があると判断した場合には送致の受理から24時間以内に「勾留」が請求されて、裁判官がこれを許可すると10日間にわたる勾留が開始されます。
    さらに、10日間の勾留では捜査を遂げられなかった場合には、10日以内を限度に延長が許されています。
    つまり、勾留の限界は20日間であり、逮捕から数えると身柄拘束の最長は23日間となるのです。

    勾留による身柄拘束が長引くと、家庭・仕事・学校への悪影響が大きくなるのは必至です。
    早期釈放を実現するには、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを主張する必要があるので、弁護士によるはたらきかけが欠かせません

  3. (3)検察官が起訴すれば刑事裁判

    勾留が満期を迎える日までに、検察官が「起訴」すると刑事裁判へと移行します。
    起訴された時点で「被告人」として拘置所に移送されます。
    原則として刑事裁判が終わるまでは被告人としての勾留が続きますが、「保釈」による一時的な釈放も期待できます。

    検察官による起訴を回避して「不起訴」となれば、刑事裁判が開かれないので刑罰も受けません。
    また、保釈が許可されれば一時的に釈放されるため事件後の社会復帰を容易にします。
    いずれも弁護士のサポートが必須なので、早い段階で弁護士に相談して助けを求めましょう

5、まとめ

ポイントを不正所得する行為は犯罪に問われる可能性があります。
詐欺罪などに問われて逮捕や厳しい刑罰が科せられる危険があるので、心当たりがあるなら、直ちに弁護士に相談することをおすすめします。

ポイントの不正取得で逮捕や刑罰に不安を感じているなら、ベリーベスト法律事務所 小田原オフィスにご連絡ください
刑事事件の解決実績を豊富にもつ弁護士が、事件化の回避や不起訴などの有利な処分を目指して、全力でサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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