無職でも債務整理は可能? メリットとデメリットを解説

2023年06月13日
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無職でも債務整理は可能? メリットとデメリットを解説

失業などにより無職になってしまうと、借金の返済が難しくなります。そのような場合には、債務整理を行うことで借金返済の負担を軽減することが可能です。

債務整理には、任意整理、自己破産、個人再生という三つの方法があるため、適切な債務整理の方法を選択しましょう。無職の状態で債務整理をする場合には注意すべき点も多々あるため、しっかりと理解してから債務整理を行うことが大切です。

本コラムでは、無職での債務整理とその注意点などについて、ベリーベスト法律事務所 小田原オフィスの弁護士が解説します。

1、債務整理とは|メリット・デメリットは?

まず、債務整理の三種類の方法と、それぞれのメリット・デメリットについて説明します。

  1. (1)債務整理とは

    債務整理とは、借金の返済が困難な状況になった場合に、債権者との交渉や裁判所への申立てによって、借金返済の負担を軽減することができる手続きです。
    債務整理の方法は、以下の三種類です。

    ① 任意整理
    任意整理とは、債権者との交渉によって、将来利息のカットや支払い方法の変更の合意を行う方法です。
    裁判所を通さない手続きであるため、自己破産や個人再生に比べて、自由度が高い手続きである点が特徴です

    ② 自己破産
    自己破産は、債務者財産を換価・処分して債権者へ配当する手続きです。清算後、残った債務の免除をしてもらうことで、借金から解放されることを目指す方法です。
    自己破産では借金の返済義務が免責されるため、借金問題の根本的な解決につながるという点が特徴です

    ③ 個人再生
    個人再生とは、裁判所に申し立てをして再生計画の認可を受けることにより、借金返済の負担を大幅に軽減できる方法です
    個人再生では、減額後の借金を原則3年(最長5年)の分割で返済していくことになります。
  2. (2)債務整理のメリット・デメリット

    債務整理の各方法には、それぞれ以下のようなメリットとデメリットがあります。

    ① 任意整理のメリット・デメリット

    【メリット】
    任意整理は裁判所を通さない手続きであるため、一部の借金のみを対象に債務整理をすることができます。
    保証人が付いている借金を除いて債務整理をすることもできるため、保証人に迷惑をかける心配がありません。

    【デメリット】
    任意整理は、将来利息のカットや返済方法の変更が中心となりますので、借金の大幅な減額までは期待できません
    また、債権者との合意による債務整理の方法であるため、債権者の合意がなければ実行することができないという問題もあります。


    ② 自己破産のメリット・デメリット

    【メリット】
    自己破産のメリットは、借金の返済義務を免除してもらうことができるという点です。
    借金がどれだけ高額であったとしても、免責許可決定を受けることができれば、基本的には借金をゼロにすることができます。

    【デメリット】
    自己破産には、借金をゼロにできるというメリットと引き換えに、一定以上の資産をすべて手放さなければならないというデメリットがあります
    また、借金の原因がギャンブルや浪費であった場合には「免責不許可事由」にあたり、自己破産のハードルが上がります。


    ③ 個人再生のメリット・デメリット

    【メリット】
    個人再生は、借金を大幅に減額し、3年(5年)での分割払いが可能になるため、任意整理では返済が難しい場合にも返済を継続できる可能性があります。
    また、住宅資金特別条項を利用することによって、住宅ローン付きの自宅を残しながら債務整理を行うこともできます。

    【デメリット】
    個人再生は借金の返済を継続する方法であるため、安定した収入が必要になります。
    無職で収入がない場合には、基本的には個人再生を利用することはできません

2、無職でも債務整理はできる?

収入がない場合には個人再生を利用することはできませんが、任意整理や自己破産によって債務整理を行うことは可能です。

  1. (1)無職でも将来収入を得る見込みがあれば任意整理が可能

    任意整理と個人再生は、どちらも返済を継続する方法の債務整理です。
    しかし、裁判所を通さない任意整理では「債務整理時点で収入のあること」は要件とはされていません

    また、以下のような状況の方なら、無職であっても任意整理をすることが可能です。

    • 将来、就職により収入を得る見込みがある方
    • 配偶者や親族からの協力により返済が可能である方
  2. (2)無職で将来収入を得る見込みがないときは自己破産を検討

    上記のケースに該当しない場合には、債務整理の選択肢は自己破産が有力となります。

    自己破産は、返済を前提としない債務整理の方法であるため、無職で収入がない方であっても利用することが可能です。
    ただし、借金の原因がギャンブルや浪費であった場合には、原則として免責許可決定を受けることができません。裁判所による裁量免責の見込みがあるかどうかを慎重に判断してから自己破産を選択することが重要になります

3、無職で債務整理をする場合の注意点

以下では、無職の方が債務整理(任意整理または自己破産)をする場合に注意すべき点を解説します。

  1. (1)無職で任意整理をする場合の注意点

    任意整理をする場合には、債権者において債務者がきちんと合意内容に従って返済する能力があるかどうかを判断するために、債権者との交渉の際に収支状況の資料の開示を要求されることがあります。

    無職で収入の無い状態だと、債権者が返済条件の変更に合意してくれない可能性も高いでしょう

    また、将来収入を得る見込みが不確実な状況では、任意整理により債権者と合意をしたとしても、弁済が続かず結局は破綻してしまいます。
    そのため、収入の見込みは慎重に判断しなければならないのです。

  2. (2)無職で自己破産をする場合の注意点

    無職で収入がない状態でも自己破産は利用できます。いちど自己破産をすると、再び借金をして返済が困難になったとしても、2回目以降の自己破産は容易には認めてもらえません
    収入がない状況が続けば再び借金をしなければならない事態となるため、借金がゼロになったとしても安心せず、生活の再建に向けて動くことが大切です。

    また、借金の理由が浪費やギャンブルであった場合には、その金額によっては管財事件となります。管財事件は、20万円程度の予納金を裁判所に収める必要があります。
    したがって、予納金も事前に準備しなければならないのです。

4、借金でお悩みの場合まずは弁護士に相談

借金に関するお悩みは、弁護士に相談してください。

  1. (1)最適な債務整理の方法を提案してもらえる

    債務整理には、任意整理、自己破産、個人再生という三種類の方法があります。
    いずれの方法にも、メリットとデメリットが存在します。
    どの方法を選択すべきかは、個々の状況によって異なってきます。
    また、最適な方法を選択するためには、債務整理に関する知識や経験が不可欠です。

    専門家である弁護士に相談すれば、最適な手続きを選択することができます

  2. (2)弁護士からの受任通知により取り立てがストップする

    債務整理を弁護士に依頼すると、弁護士は、各債権者に対して、受任通知という書面を送付します。
    受任通知とは弁護士が債務整理の依頼を受けたことを債権者に知らせる文書であり、債権者から債務者への直接の取り立てをストップさせるという効果もあります。

    債権者からの取り立てに悩まされている方は、弁護士に依頼することで、取り立てによるストレスを軽減できるでしょう

  3. (3)債務整理の手続きを代行してもらえる

    債務整理をする際には、資料の収集、債権者との交渉、裁判所とのやり取りなど、複雑で手間のかかる手続きを行う必要があります。

    弁護士に依頼すれば、各手続きを代行してもらい、負担を軽減することができます

5、まとめ

仕事を失い無職になってしまった場合にも、任意整理や自己破産を選択することによって、借金の負担を軽減することが可能です。
どの方法が最善であるかは状況によって異なってくるため、まずは専門家である弁護士に相談してください。

借金問題でお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所まで、お気軽にご連絡ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています