借金返済の順番|優先すべき借り入れや返済する際の注意点を解説
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複数の銀行や消費者金融などから借金をしている場合、返済滞納が生じると、連鎖的に一括請求を受けるおそれがあります。
もし借金返済が難しい場合には、債務整理について弁護士に相談することを検討しましょう。
本コラムでは、借金返済の順番を決める際の注意点や、多重債務状態を解消するための方法などについて、ベリーベスト法律事務所 小田原オフィスの弁護士が解説します。
1、借金返済の順番はどのように決めるべきか?
複数の金融機関の債権者から借金をしている状態を、「多重債務」といいます。
多重債務状態の場合、返済資金の調達がギリギリになってしまことがあります。場合によっては、全部の返済には資金が間に合わないというケースが生じるかもしれません。
すべての借金を返済することができない場合には、「どの借金から返済していくか」という順序を付ける必要があります。
以下では、借金の返済の順番を決めるために考慮すべき要素を解説します。
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(1)2か月以上の滞納は避けるべき|一括請求を受けるおそれあり
借金返済の順番を決めるに当たってもっとも重要なのは、「2か月以上の滞納を避ける」という点です。
多くの場合、借金の契約(金銭消費貸借契約)において、2か月以上の滞納は「期限の利益喪失事由」として規定されています。期限の利益とは、ここでは、借金を一度に返さずとも、一定期間ごとに分割して返せばいいという利益をいいます。
期限の利益喪失事由に該当した場合、債権者は債務者に対して、残りの借金を一括で支払うことを請求できます。
毎月の支払いでさえ困っている状況で、一括返済を請求されてしまっては、支払うことは難しいでしょう。そうなると、債務整理が避けられない状況になるおそれがあるのです。
一括請求を避けるためには、借金を2か月以上滞納しないようにしなければなりません。どうしても借金返済の順番を決める必要がある場合には、すでに1回滞納している借金から優先的に返済していきましょう。 -
(2)1社ずつ返済するのは現実的でない|別の方法の検討を
多重債務状態の場合、そもそも1社ずつ借金を返済していくのは現実的ではありません。
多重債務状態の債務者は、収入に比べて借り入れの金額が極端に多く、自転車操業状態で返済を続けているケースが大半です。そのため、滞納が発生しやすい状況にあります。
そして、一度でも滞納が発生すれば、元本が減らずに利息や遅延損害金が積み重なることになるのです。
このような状態では、完済までの道のりは遠いといえるでしょう。
したがって、多重債務状態を抜本的に解消したい場合は、次の項目で挙げるような方法を検討する必要があります。
2、多重債務状態を解消するための方法
多重債務状態を解消するための方法としては、「借り換え・おまとめローン」や「債務整理」などがあります。
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(1)借り換え・おまとめローン
「金利が低い」「月々の返済額を減らせる」などの好条件である場合には、別の金融機関や貸金業者に借り換えることも、選択肢のひとつとして検討しましょう。
特に、「おまとめローン」を利用することができれば、金利を低く抑えながら債務を一本化できる可能性があります。
「おまとめローン」とは、複数の金融機関や貸金業者からの借金を、すべて1社に借り換えることです。
債権者は1社だけに一本化されるため、借金返済の順番を考える必要もありません。
ただし、おまとめローンを借り入れる際には、金融機関や貸金業者による審査が行われます。
過去に借金の返済を滞納している場合には、おまとめローンの審査に通りにくい点に注意してください。 -
(2)債務整理
弁護士に相談して債務整理を行うことは、多重債務状態を解消するための有力な方法です。
債務整理とは、債権者との交渉や法的手続きを通じて、借金の返済負担を軽減することをいいます。
適切な方法を用いて債務整理を行うことで、多重債務状態を抜本的に解消できる可能性があります。
債務整理には主に任意整理・個人再生・自己破産の三つの方法があり、それぞれに特徴が異なるため、ご自身の状況に合わせた方法を選択することが重要になります。 -
(3)闇金からの借金|弁護士にご相談を
借金の返済資金が用意できないために、「闇金」と呼ばれる違法貸金業者から借金をしてしまう方がおられます。
<利息制限法の上限金利>
「闇金」とは、無登録・違法な高金利・暴力的な取り立てなど、法律の規定に違反して貸金業を営む業者全般の俗称です。
闇金の大きな特徴は、利息制限法の上限を超える違法な高金利で貸し付けを行っていることです。
年率に直すと数百%や数千%ともなる違法金利で貸し付けを行っている闇金業者もまれではありません。
元本額 上限金利 10万円未満 年20% 10万円以上100万円未満 年18% 100万円以上 年15%
年数百%などの違法な金利の貸し付けは「不法原因給付」(民法第708条)に当たり、法律上は、元本を含めて返済の必要がありません。
そのため、闇金からの借金している場合には、返済する必要がない可能性があります。
闇金業者への対応は、弁護士に相談するようにしてください。
3、借金問題を解決できる主な債務整理の方法
債務整理の方法には、任意整理・個人再生・自己破産の3種類があります。
以下では、それぞれの方法の特徴を解説します。
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(1)任意整理
「任意整理」とは、借入先の債権者と交渉を行い、利息・遅延損害金のカットや返済期間の変更などについて合意して、借金の返済負担を軽減する方法です。
任意整理は裁判所を通さずに行うため、簡易な手続きによって短期間で債務負担を軽減できるメリットがあります。債務者が所有している財産も、基本的には処分されません。
また、対象となる債務を選べるため、保証人がいる債務を除外して迷惑をかけないようにすることも可能です。
ただし、任意整理を成立させるためには、債権者の同意を得ることが必須となります。
債権者が納得できる返済計画を示せなければ、任意整理を成立させることは困難でしょう。
また、複数の債権者から借金をしている場合には、個別に任意整理の交渉をしなければならないために、手間がかかるというデメリットもあります。
さらに、任意整理では元本のカットが認められないケースが多く、個人再生や自己破産に比べると借金を減らせる金額が少ないというデメリットもあるのです。 -
(2)個人再生
「個人再生」とは、債権者全員との間で借金のカットなどを取り決める、裁判所における法的手続きです。
債権者によって決議され、裁判所によって認可された再生計画に従い減額された借金を、原則として3年間で返済することになります。
個人再生では元本のカットが認められるため、任意整理よりも大きな借金の減額効果を得られる可能性があります。
財産は担保権付きのものを除いて処分されず、住宅ローンが残っている自宅についても保持しておける制度が用意されています。
ただし、個人再生を利用するためには安定収入があることが要件とされているので、無職やフリーターの方が利用することは難しいといえます。
また、少なくとも100万円の最低弁済額が設定されているため、100万円を大きく超える借金を負っている方向けの手続きといえます。 -
(3)自己破産
「自己破産」は、財産の清算と引き換えに借金を全額免除してもらう、裁判所の法的手続きです。
必要に応じて債務者の財産を換価・処分して、債権者に配当を行った後、裁判所が免責を許可すると、税金など一部の債権を除いてその債務の返済義務がなくなります。借金の全額免除が認められるのは自己破産のみであり、もっとも強力な債務整理手続きといえます。
債権者の同意も不要であり、収入などに関する要件もなく、支払不能であれば誰でも利用できる点も大きなメリットです。
ただし、自己破産をすると、生活に必要な最低限のものを除き、債務者の財産は処分されてしまいます。
また、各種士業や警備員など、一部の職業については資格制限が発生する点にも注意してください。
4、借金を自力で返済するのが難しいときは弁護士にご相談を
借金の返済が苦しい場合には、債務整理について弁護士にご相談ください。
「どの債務整理手続きを選択すべきか」という判断は、状況によって異なります。
弁護士は、債務者の状況に応じて、もっとも効果的に借金問題を解決できる方法を提案することができます。
また、実際の債務整理手続きについても全面的に代行できるため、債務者は手続きや交渉に伴う精神的なストレスを軽減することもできるでしょう。
「収入に比べて借金額が多すぎる」「複数の金融機関や貸金業者から借り入れをしている」などの状態にある方は、お早めに、弁護士までご相談ください。
5、まとめ
多重債務状態において、すべての借金を返済するのが難しい場合は、一括での返済請求を避けるため、すでに1回滞納してしまった借金から優先的に返済しましょう。
しかし、多重債務状態では、地道に少しずつ借金を返済することは困難な場合も多いでしょう。
そのような状況にある方は、債務整理について弁護士に相談することをおすすめします。
ベリーベスト法律事務所では、債務整理についてのご相談を受け付けております。
銀行カードローンや消費者金融などからの借り入れについて、ご自身の返済可能額を大幅に上回る返済を強いられている方は、まずはベリーベスト法律事務所にご連絡ください。
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