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遺留分の放棄は生前だけではなく相続開始後も可能! 対応方法を解説

2021年05月06日
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遺留分の放棄は生前だけではなく相続開始後も可能! 対応方法を解説

小田原市が公表している令和3年3月号の統計月報によると、小田原市では令和3年2月に、1日あたり7.4人の方が亡くなったそうです。

ご家族や親族が亡くなった際に、避けて通れないのが相続の問題です。
相続人には、法律上、遺留分という最低限度の遺産の取得割合が保障されています。被相続人や他の相続人の意向によって遺留分自体を奪うことはできませんが、相続人自身の意思で遺留分自体を放棄することは認められています。被相続人や他の相続人との関係性から、遺留分に関するトラブルを回避するために、遺留分の放棄を選択するという方もいます。

本コラムでは、遺留分放棄の方法や注意点について、ベリーベスト法律事務所 小田原オフィスの弁護士が解説します。

1、遺留分の基礎知識

遺留分の放棄を検討する前提として、遺留分についての基本的な知識を有していなければなりません。よくわからないまま遺留分を放棄してしまい後悔したということがないように、遺留分に関する基礎知識を押さえておきましょう。

  1. (1)遺留分とは

    遺留分とは、民法によって保障されている相続人が最低限取得できる、遺産割合のことをいいます。
    遺留分は、最低限度の遺産割合ですので、被相続人が遺言書で他の相続人にすべての遺産を相続させる旨の遺言書を残していたとしても、遺留分自体を奪うことはできません

    遺留分が認められている相続人の範囲については、民法第1042条によって、次のように規定されています。

    ■第1042条
    (遺留分の帰属及びその割合)
    兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第一項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける。

    一 直系尊属のみが相続人である場合:三分の一
    二 前号に掲げる場合以外の場合:二分の一

    2 相続人が数人ある場合には、前項各号に定める割合は、これらに第900条及び第901条の規定により算定したその各自の相続分を乗じた割合とする。


    上記のとおり、遺留分が認められている相続人は、「兄弟姉妹以外の相続人」になります。
    遺留分として保障されている相続割合としては、父母などの直系尊属のみが相続人である場合には「法定相続分×3分の1」、それ以外が相続人の場合には「法定相続分×2分の1」です。

  2. (2)遺留分を行使する際の期間制限

    遺留分の権利を行使するためには、遺留分を侵害している者に対して、遺留分侵害額請求(民法改正前は遺留分減殺請求と呼ばれていたもの)をすることになります。遺留分侵害額請求権については期間制限があり、相続開始のときから10年または遺留分侵害の事実を知ったときから1年で時効になります。

    なお、遺留分侵害額請求権の行使によって、侵害されている遺留分に相当する金銭を請求できる権利(金銭債権)を取得することになりますが、金銭債権については、権利を行使できることを知ったときから5年という時効期間があるので注意が必要です。

2、遺留分を放棄できるタイミング

遺留分を放棄したいと考えた場合、どのようなタイミングで放棄することができるのでしょうか。遺留分放棄の目的やタイミングについて説明します。

  1. (1)遺留分の放棄は可能

    遺留分侵害額請求権は、相続人に認められた権利ですので、他の相続人によって奪われることはありません。他方、相続人が自らの意思で、その権利を放棄するということは可能です

    遺留分を放棄するのは、被相続人の生前の意思を実現するためや、遺留分に関する争いに巻き込まれたくないといった理由によるケースが考えられます。遺留分を放棄するタイミングとしては、被相続人の生前に行う方法と、被相続人の死後に行う2通りの方法があります。

  2. (2)被相続人の生前に遺留分を放棄する方法

    被相続人の生前に遺留分を放棄するためには、家庭裁判所による許可を得る必要があります。家庭裁判所の許可を必要とする趣旨としては、被相続人の生前に自由に遺留分の放棄ができるとすると、被相続人から不当な圧力を受けて遺留分を放棄するという事態になるおそれがあるためです。このような事態を避けることを目的として、家庭裁判所の許可が必要とされています。

    被相続人の生前に遺留分の放棄をしようと考える相続人は、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に対して、遺留分放棄の許可の申し立てを行います。遺留分放棄の許可の申し立てを受けた裁判所としては、以下の要件を満たすかどうかを審理し、問題ないときには申立人に対し、許可がなされます。

    1. ① 本人の意思に基づくものであること
    2. ② 申し立ての理由に合理性・必要性があること
    3. ③ 遺留分放棄の代償を得ていること
  3. (3)被相続人の死後に遺留分を放棄する方法

    被相続人の死後に遺留分を放棄するときには、生前の放棄のような厳格な手続きは要求されていません。被相続人の死後であれば、被相続人からの不当な働きかけにより遺留分を放棄するという事態が生じないため、家庭裁判所の許可は不要とされています。

    そのため、他の法定相続人に対し、遺留分侵害額請求権を行使しないことで、遺留分を放棄したとみなされます。もっとも、このような消極的な権利行使では他の相続人も不安定な立場に置かれることになりますので、遺留分を放棄することに決めた場合には、他の相続人との間で、遺留分放棄の合意書面を作成しておくとよいでしょう。
    なお、遺留分侵害額請求権については、前述のとおり、期間制限がありますので、合意書面の作成が困難なときには、期間の経過を待つということでも遺留分放棄の効果を得ることができます。

3、遺留分放棄に際しての注意点と相続放棄との違い

遺留分放棄をする際には、次にあげる点に注意をしましょう。以下では、被相続人の生前の遺留分放棄と死後の遺留分放棄に分けて説明します。

  1. (1)被相続人の生前に遺留分を放棄するとき|2つの注意点

    ① 裁判所の許可を得るのが難しい
    前述したように、被相続人の生前に遺留分を放棄するには、家庭裁判所の許可が必要となります。遺留分は相続人に認められた最低限度の遺産割合ですので、単に「親と不仲だから」「相続争いに巻き込まれたくないから」といった理由では、生前の遺留分放棄は認められないことがあります。
    また、遺留分権利者が遺留分を放棄する代償として、何らかの財産を取得しているということも条件になります。そのため、無償で権利だけを放棄するということはできない点に注意が必要です。

    ② 被相続人死亡後は遺留分放棄を取り消すことができない
    家庭裁判所から遺留分放棄の許可が得られたとしても、その後の事情の変化によって、その許可を取り消してもらうことは可能です。しかし、被相続人が死亡した後は、遺留分放棄の許可の取り消しはできません。
    許可の取り消しについても簡単に認められるものではありませんので、遺留分を放棄する際には、慎重に判断したうえで決めるようにしましょう。

  2. (2)被相続人の死後に遺留分を放棄するとき|相続放棄との違いに注意

    遺留分放棄と似た言葉として、相続放棄という制度があります。両者を混同している方もいるかもしれませんが、まったく異なるものですので注意が必要です。

    相続放棄とは、被相続人の死後、相続人のプラスの財産とマイナスの財産を含めたすべての財産を相続しないようにする手続きのことをいいます。相続放棄をすることによって、その人は相続人でなかったことになりますので、被相続人の一切の遺産を相続する権利を失い、遺産分割手続きに関与する必要もなくなります。
    他方、遺留分放棄とは、相続人に保障されている遺留分侵害額請求権を行使しないという意味合いを持つのみで、相続人でなくなるわけではありません

    どちらの手続きをとるかで大きく変わってくるのが、被相続人に借金があったときです。
    相続放棄をすれば、借金も相続することがなくなるため、被相続人の債権者から請求を受けたとしても相続放棄を理由に支払いを拒むことができます。しかし、遺留分放棄をしただけでは、相続人である地位までは失いませんので、被相続人の借金は相続することになります。遺留分の放棄は、プラスの財産をもらうことができない反面、マイナスの財産だけ引き継ぐことになりかねませんので、被相続人に借金があるときには、相続放棄も含めて検討した方がよいでしょう。

4、遺産分割でトラブルになったときの対処法

遺産分割とは、被相続人の死亡後、被相続人が有していた遺産を相続人が分けるための手続きをいいます。被相続人が生前に遺言書を残していたときには、当該遺言に従って遺産を分けることになりますが、遺言書がないときには、相続人全員が協議によって遺産の分け方を決めることになります。

遺留分の問題が生じる可能性があるのは、被相続人によって特定の相続人の遺留分を侵害する内容の遺言書が残されていたというケースです。
遺留分を侵害された相続人としては、遺留分侵害額請求権を行使して、最低限保障されている遺産を取得するのか、遺留分を放棄するのかを判断しなければなりません。また、そもそも遺言書の内容に疑義があるときには、遺言自体を争うことも考えられます。

このように、相続発生後、自己の遺留分が侵害されていることを知ったときには、さまざまなことを想定して手続きを考えていかなければなりません。また、遺留分の放棄を他の相続人から強く求められるなど、遺留分がきっかけとなり親族同士のトラブルに発展することも想定されます。

遺留分に関する問題は、ひとりですべてを適切に行うのは難しいことが多いでしょう。そのため、遺留分が侵害されている事実を知ったときには、すぐに弁護士に相談をするとよいでしょう

5、まとめ

遺留分は相続人に保障された最低限の権利ですので、他の相続人から求められたからといって安易に放棄することは避けましょう。放棄をするかどうかを判断するためには、被相続人の遺産についての正確な調査が不可欠です。十分な調査をすることなく放棄をしてしまうと、後々後悔することもありますので、注意が必要です。

遺留分問題をはじめとした、遺産相続に関するお悩みを抱えている場合は、小田原オフィスの弁護士にご相談ください。遺留分放棄の手続きに関するサポートはもちろんのこと、代理人として他の相続人との交渉などもお任せいただけます。最良の結果に導けるように、しっかりとサポートしますので、ぜひご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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